米フロリダ州ボカラトンを拠点とする Carbon Limit は、業界の脱炭素化を推進し、環境の保全、保護、改善に貢献することを目指しています。共同創業者の Tim Sperry 氏は、自身と共同創業者の Oro Padron 氏、Christina Stavridi 氏にとって、このミッションは個人的なものだと説明しています。「私は、(大気汚染によって)家族を失いました。Oro にも Christina にも、それぞれのストーリーがあります。チームのコアメンバーである Angel は、子供が生まれたばかりです。私たち全員が、このミッションとつながっているのです。それによって、非常に強い企業文化が育まれています」
今、Carbon Limit は、建築環境に向けたサステナブルなソリューションを生み出すために進化を続けています。同社の主力製品である CaptureCrete という添加剤を使うと、コンクリートが空気中から直接 CO2 を回収して貯蔵できるようになります。
Carbon Limit の最初のプロトタイプは、ソーラーパネル、フィルタ媒体、吸気ファンが搭載されたポータブル輸送コンテナであり、空気を直接取り込む仕組みを備えていました。これは、税額控除とカーボン クレジットに依存したビジネスモデルだったため、チームは方向転換することにしました。「私たちのもともとの技術は、大気中の CO2 を回収し、その恒久的な貯蔵ソリューションとしてコンクリートを使うというものでした。それをコンクリート技術に転換したのです」と Sperry 氏は説明します。「私たちは、コンクリートに関連するプロジェクトや問題のカーボン フットプリントを削減し、貴重なカーボン クレジットを発行できるようにしています。この技術は採算が取れます。カーボン フットプリントを定量的に削減して、環境を改善し、カーボン クレジットから収益を得ることができるのです」
気候変動との闘いは時間との競争です。共同創業者兼 CMO の Padron 氏は次のように説明しています。「私たちがいる業界は、テクノロジーが追いついたときにはすでに手遅れになっているスピードで動いています」
「私たちが発見したのは、実際には AI は排除するものではなく、創造するものであることです。AI は、私たち自身のことや、私たちが知らなかったことを発見するチャンスを与えてくれています」と Padron 氏は言います。「私たちが AI を受け入れているのは、未来を受け入れているからです。そして私たちは、パイオニアになろうと努力しています」
人工知能は、信頼性の低いデータがあふれる可能性がある空間で透明性を実現するものでもあります。「私たちは、デジタル MRV をはじめとするツールを開発しています。これは、カーボン クレジットの測定(M)、報告(R)、検証(V)を表しています」と Sperry 氏は言います。「残念なことに、偽造品または未確認のカーボン クレジットが大量に販売、発行、作成されているという報道もあります」。AI を使えば、現実世界のカーボン クレジットのデータ、公開量、定量性をリアルタイムに提供できます。ハードテックによってカーボン クレジットを発行する Carbon Limit は、テクノロジーの信頼性向上に貢献しています。
Carbon Limit は、複数のオペレーティング システムで作業するデベロッパー、プログラマー、データ サイエンティストのチームです。そのため、一元化されたシステムでコラボレーションを行うことが求められていました。Stavridi 氏は、「Google Workspace の Google スプレッドシートと Google ドキュメントを使って、独自の CRM を構築することができました。短時間でオンボーディングするには、これが最も簡単な方法であることがわかっています。Google は、すばらしい社内コミュニケーション ツールです」と語っています。さらに、「私たちのチームは、小規模ながら多様性に富んでおり、年齢もさまざまです。すべてのチームメンバーが、同じツールに親しんでいるわけではありません。そこで Oro は、すべてのチームメンバーが簡単に利用して仕事を最適化できるように、独自の方法でオンボーディングを行い、ツールを活用できるようにしています。この手法は非常に有益です」と付け加えています。
さらに、Carbon Limit のチームは、CO2 関連のデータのトレーニングに Google のデータを、モデルのトレーニングに、Google Colab を使っています。「Python で作ったモデルもいくつかありますが、Google Cloud を活用することで、モデルの予測スピードが向上しました」と Padron 氏は言います。
Google for Startups アクセラレータ: 気候変動プログラムが始まる前、Carbon Limit は、人工知能(AI)と機械学習(ML)を社内のプロセスに組み込むことを検討していましたが、その判断が正しいかどうかを確認したいと考えていました。最終的に、Google の指導とサポートのもと、チームは AI と ML アルゴリズムを本格的に導入しました。「アクセラレータ: 気候変動は、私たちが何をすべきかを正確に理解するうえで役立ちました」と Padron 氏は語っています。
このプログラムに参加したことで、Carbon Limit は SEO の強化に役立つリソースにもアクセスできるようになりました。「バックリンクを増やす方法とパフォーマンスを向上させる方法を学びました。これは、知名度の向上に大いに役立ちました。このバックボーン全体を構築できたのは、Google Workspace のおかげです」と Padron 氏は述べています。
「私たちに何ができるのか、どうすればできるのか、何をすべきでないのかについて、Google for Startups アクセラレータ プログラムを通じて貴重なリソースとガイダンスを得ることができました」と Sperry 氏は言います。「テクノロジーを開発し、テクノロジーを使用し、毎日それを使って仕事をしている人々から指導や教育を受けられたことは、私たちにとって非常に貴重でした」。Stavridi 氏は次のように付け加えます。「さまざまなプラットフォームでソリューションを伝える際に、それをアピールする方法を磨くためのアドバイスもいただきました。そのおかげで、さまざまな顧客や投資家に対して、どのように話すべきかを理解できるようになりました」
Carbon Limit は、このプログラムによって、Google という新たな顧客を得ることもできました。「これは非常に重要なことでした。Google がアーリー アドプターとなってくれたことで、信頼性が大幅に向上したからです」と Sperry 氏は述べています。
今後、Carbon Limit は、データセンターの電力削減や、CO2 汚染の削減や除去に役立つ新技術を発表する予定です。
「二酸化炭素回収ソリューションからサステナブルなソリューションに移行したのは、もっと大きなことをしたかったからです」と Sperry 氏は話します。「自分たちがやっていることを他の人にもやってもらい、意識を高めて、環境に優しい世界作りに貢献したいと考えています」
さらに Sperry 氏は、「私は自分の仕事が大好きです。存在しないものを発明できるのが大好きなのです。しかし、もっと重要なのは、それが家族や愛する人、将来の世代、そして環境を守るために役立つことや、Carbon Limit のすばらしい仲間たちと一緒に取り組めることです」
Google のアクセラレータ プログラムへの参加方法については、こちらをご覧ください。