Sarah Pinner 氏は、廃棄物を減らしたいという情熱を持っています。その始まりは、子どものころ、家族が歯を磨いているときに出続けている水を手を伸ばして止めたところから始まりました。この情熱が Pinner 氏のキャリア全体の原動力となり、ゼロ廃棄食料品スタートアップ企業 Imperfect Foods に入社し、さらに Beni を共同で創業することにつながりました。Beni は、AI を搭載したブラウザ拡張機能で、ユーザーがお気に入りのブランドのショッピングをしている間に、中古品を集約して推奨してくれます。Pinner 氏は、Beni の共同創業者で CTO を務める Celine Lightfoot 氏と共に、Beni を開発しました。その目的は、日々の買い物客が気軽にオンライン アパレルの再販に参加できるようにすることで、循環経済を加速し、ファッションが地球に与える負荷を軽減することです。
Pinner 氏は、このプラットフォームがどのように買い物客と古着をつなぐかについて、次のように説明しています。「ナイキのシューズを見ているとしましょう。ナイキのサイトにアクセスしている間に、Beni は同じ靴の中古品リストを、Poshmark や eBay、TheRealReal など、40 を超えるマーケットプレイスから取得します。ユーザーは、新品ではなく中古品を購入するだけで、お金を節約し、サステナブルなショッピングを行うことができます。Beni ユーザーは、新品を買うよりも平均約 55% 節約でき、中古品を買う方がはるかにサステナブルです」
Beni はリコマース プラットフォーム ソフトウェア分野における最初の企業の 1 つで、この分野の競争は激しくなっています。「リコマース プラットフォームは多ければ多いほどいいのですが、Beni は、パートナーシップとデータへのアクセス、データ全体を検索する機能の面で優位に立っています」と Pinner 氏は話します。
Beni は、買い物客に最も関連性の高い中古品を提示するため、40 以上のパートナーからのデータフィードをすべてデータベースに取り込んでおり、その際に AI を活用しています。たとえば、Beni が eBay からの商品検索用のフィードを受け取った場合、そこに 10 万種類のサイズがある可能性もあります。そこで、サイズのデータを正規化する Beni モデルをトレーニングしました。これは Beni が行っている分類の一部です。
「Beni を始めたときは、会社を立ち上げることが目的ではありませんでした。目的は問題を解決することで、AI はそれを可能にするすばらしいツールだったのです」と Pinner 氏は言います。
Beni は、Google のテクノロジーを使ってプロダクトを開発し、Google Cloud にホストしています。また、Vision API Product Search、Vertex AI、BigQuery、Chrome ウェブストアを利用しています。
Beni のチームは Google for Startups アクセラレータ: 循環経済プログラムについて聞いたとき、自分たちにうってつけだと感じました。「循環経済の分野に携わり、すでに多くの Google プロダクトを使ってソフトウェア ビジネスを営んでおり、さらに Google Chrome 拡張機能も利用しています。Google の世界とつながることで、オンラインではとても見つけにくい非常にニッチな質問についても、すばらしい洞察を得ることができました」と Pinner 氏は述べています。
Beni は中古品販売のアフィリエイト ビジネスなので、トランザクションあたりの収益が低く、規模を必要とするビジネス モデルであることが課題です。Beni のチームは、Google ツールを費用対効果の高い方法で最大限に活用するために、Google のメンターと 1 対 1 でアドバイスを受けました。常に適切な検索結果を維持することは、Beni のゼロ廃棄モデルの中核部分です。「Google Chrome 拡張機能の開発方法やバックエンド AI ツールの使用方法を熟知し、検索を深く理解している Google の人々とつながり、連携しながら、関連性と信頼性を向上させることに取り組みました。これは非常に有用な経験でした」。Google for Startups アクセラレータ: 循環経済プログラムでは、Google のVision API Product Search などの AI ツールを選択して利用する方法と、社内で独自技術を開発する方法を比較しながら学ぶこともできました。
「Google の人々と直接コンタクトを取れたことは、開発を進めて Google ツールを使いこなすうえで非常に重要でした。他の循環経済ビジネスのコホートに参加できたことも、同じ業種で人脈を構築するためにとても役立ちました」と Pinner 氏は話します。
Google for Startups アクセラレータのサポートは、テクノロジー面に限られるものではありません。Pinner 氏にとって、プログラムのクライマックスは、サステナビリティに特化した UX の記述について徹底的に追求できたことでした。「サステナビリティに関するコミュニケーションにおいて、行動を変えてもらうために実際に何が効果的なのか。それに関して Google が行ってきた驚くべき具体的な研究を、すべて見せてもらったのです」と Pinner 氏は言います。「人に恥ずかしい思いをさせては、何かをしてもらうことはできません。人に実際に変化を起こしてもらったり、何かを受け入れてもらったりするには、コミュニケーションの方法が非常に重要なのです」
さらに、他の循環経済スタートアップ起業やその分野の専門家との新しいつながりができたことも、Google for Startups アクセラレータに参加した大きな利点でした。特に貴重だったのはメンターシップで、それがプロダクトの変革につながりました。Google のテクニカル メンターのアドバイスのおかげで、Vision API Product Search を使っていた Beni は、独自の仕組みによる画像を使用した検索に移行するという決断に踏み切ることができました。「メンターのアドバイスによって、テクノロジーの中核部分を移行することができました。これは大きな決断で、メンターシップが特に大きな前進につながったケースの 1 つです。これは、最高のプロダクトを作るうえで、Google for Startups アクセラレータ プログラムが本当に役立つことを示す、またとない例です」と Pinner 氏は言います。
Beni のミッションは簡単なことです。それは、買い物客が中古品を探して購入する負担を軽減することで、中古品市場に新たな人々を呼び込み、再販を新たな常識にすることです。
さらに、古着検索プラットフォームとしての Beni も根付きつつあります。Beni は PC とモバイル向けに Chrome 拡張機能を提供しており、検索可能なインターフェースも提供する予定です。今後は、プラットフォームを拡大することに加えて、他の e コマース プラットフォームをサポートして中古品の販売に対応してもらう方法を検討しています。
Google のアクセラレータ プログラムへの参加方法については、こちらをご覧ください。