Google Cloud Champion Innovators は、Google Cloud プロダクトとサービスの技術エキスパートである 500 人以上のプロフェッショナル(非 Google 社員)で構成されるグローバル ネットワークです。各チャンピオンは、クラウド AI/ML、データ分析、ハイブリッド マルチクラウド、モダン アーキテクチャ、セキュリティとネットワーキング、サーバーレス アプリ開発、ストレージ、Workspace、データベースの 9 つの技術カテゴリのいずれかを専門としています。
シリーズでお送りしているこのインタビューでは、世界中のチャンピオン イノベーターと語らい、その個人的な道のり、どのテクノロジーに焦点を当てているか、そして何に強い関心を持っているかについて掘り下げます。
今回お話を伺ったのは、Elyes Manai さんです。Elyes さんは、機械学習コンサルタント、教育者、メンターとして活動しています。企業のコスト削減や収益アップに加え、教育コンテンツやコミュニティづくりを通じて本当に必要としてくれるユーザーを対象とした関係づくりを実現すべく、データ サイエンスの活用をサポートしています。
機械学習(ML)や人工知能(AI)を取り入れることで、現在抱えている問題に関するこれまでなかったインサイトが数多く得られます。特にセキュリティ分野がそうです。今は、サイバーセキュリティへの AI の応用における博士号の取得を目指していて、ゆくゆくは次世代の学生にコンピュータ サイエンス、AI、セキュリティを教えたいと思っています。
ML 分野に進むことになったのは偶然でした。本当は大学では別のことを勉強しようと考えていたんです。建築を希望していたのですが、(出身地であるチュニジアの)高校の成績が思わしくなく、それで結局、最後の志望校だった大学の IT 学部に入ることになりました。途中で建築の学校に編入しようとしたのですが、書類の手続きに問題があったようで叶いませんでした。
こうして希望していない分野に入ったわけですが、自分には合っていました。内容はかなり簡単に感じましたし、成績も良かったので、これを一生の仕事にできるのではないかと思いました。コードを使って問題を解決するのが好きで、それが高じてウェブ開発に携わるようになり、チームも任されました。このときから次に何をしようかと考え始めたんです。
とにかく教えることが好きなので、大学教授になるにはどうすればいいのかを調べました。それで見つけたのがハーバード大学のコンピュータ サイエンス 50 というコースです。このコースを通じて、AI の大きなトレンドの到来を示すさまざまな兆候を目にして、コンピュータ サイエンスの修士号を取ることにしました。
とにかく触れてみて、実践から学ぶタイプです。学ぶことを次々に変えていきます。学びたいことを思い付いたらリストに書きとめて、新しいことを学べる段階になったら、このリストから 1 つを選ぶようにしています。こうすることで、いつも新鮮な気持ちとワクワク感をもって学べます。
新しいスキルに挑戦するときはいつでも、無理せず自然な流れに任せるよう心がけています。最初は簡単なことから始めて、そのテクノロジーやツールを使うのに必要なことを学びます。それから次の点を考えます。
今は博士号の取得を目指していることもあって、こうしたアイデアを自分の研究に関連付けられないか、研究全体を貫く 1 つのテーマにつなげられないかを常に考えています。
Explainable AI です。特に話者数が少ない世界の言語への Explainable AI の応用です。英語の AI モデルの研究は豊富にありますが、より話者数が少ない言語に BERT (およびその他のテクノロジー)を適用すれば、こうしたテクノロジーのメリットをより多くの人に届けられるのではないでしょうか。
さらに、私たち(研究者)の手で AI モデルを最適化して、データ保護の観点からより安全で、機密がしっかりと保護され、さらに幅広いユースケースに利用できるようにすることにも大きな期待をもっています。
サイクリングが好きなので、暖かい日には外に出て、ケベック内を自転車で走ります。
読書も趣味で、特に SF が好きです。最近は、さまざまな視点から見た世界をもっと知りたいと思い、自伝も読み始めました。今読んでいるのは、Scott Kelley と Sohaila Abdulali の自伝です。
テクノロジーに関すること以外にも、会いたい人、食べたいもの、行きたい場所などをたくさん集めたリストを作っています。このリストをもとに常に新しい体験や挑戦をし、自分の世界を広げ、自分を取り巻く世界をもっとよく知ろうと努めています。
Google Developer Expert (GDE) になって 2 年経ったころ、GDE イベント参加後に Innovators プログラムへの招待を受けました。プログラムに参加したことで、自分の見方や意見を述べる際に、Google の名前が後ろ盾になって、敬意と信頼をもって聞いてもらえるようになりました。さらに豪華な記念品ももらえました。
この業界は短期間で変化するので、長い間変わらず価値をもち続けられるものはほとんどありません。ただ、YouTube で公開されている CS50 は、コンピュータ サイエンスを初めて学ぶ人にとって今でも変わらず重要な内容だと思います。
また、人とのつながりをつくり、自分が使っているシステムを支える人たちに実際に会うことをお勧めします。その出会いがきっかけとなって、今後のプロジェクトや仕事で何をしたらいいのかが見つかることもあります。人脈づくりはとても重要です。
各チャンピオン イノベーターは Google と提携しておらず、Google に代わってサービスを提供することはありません。