新しい ARCore と地理空間機能によって革新的な拡張現実エクスペリエンスを構築する

5月 10, 2023
Eric Lai Group Product Manager

Google は、拡張現実エクスペリエンスを構築するための Google プラットフォームである ARCore により、情報をやり取りし、周囲の人や物を検知する方法を強化しています。ARCore は現在 14 億台もの Android デバイスで利用可能で、一部の機能は互換性のある iOS デバイスにも対応し、最大のクロスデバイス拡張現実プラットフォームとなっています。

昨年、Google は ARCore Geospatial API をリリースしました。これは Google マップから得た世界に関する知識を活用しており、デベロッパーがより豊かで便利な没入型 AR エクスペリエンスを構築するのに役立ちます。さらに、デベロッパーとのエンゲージメントを深める、ARCore Geospatial API Challenge などのグローバル ハッカソンを開催しました。ゲーム、ローカル ディスカバリー、ナビゲーションなど、さまざまなユースケースに関する質の高い数多くの作品を見ることができました。

今回は、Streetscape Geometry API、Geospatial Depth API、Scene Semantics API といった新しい ARCore Geospatial 機能を紹介します。革新的な世界規模の没入型エクスペリエンスの構築を支援するうえでぜひお役立てください。

Streetscape Geometry APIの紹介

新しい Streetscape Geometry API を使用すると、ユーザーの周囲の建物のジオメトリを取得し、視覚化し、変換することができます。ユーザーのモバイル デバイスの位置の半径 100 m 以内の 3D メッシュを取得でき、デベロッパーは、建物の再スキニング、より正確なオクルージョン、建物への仮想アセットの配置など、実世界のジオメトリとやり取りするエクスペリエンスを簡単に構築できます。

Streetscape Geometry API は、近くの建物の 3D メッシュや地形ジオメトリを提供する

この API を使って、建物のジオメトリをその上に生えている植物に変換したり、仮想のボールが建物のジオメトリに跳ね返るようなゲーム機能を作成したりするなど、没入型体験を構築することができます。

Streetscape Geometry API は、Android と iOS で利用できます。

Rooftop AnchorGeospatial Depth の紹介

以前にリリースした Geospatial anchor では、緯度、経度、高さを利用して、デベロッパーが正確な場所に安定したジオメトリを配置できるようになりました。この 1 年の間にさらに加わった Terrain anchor では、経度と緯度の座標から高さが自動計算され、地形に沿った配置が可能になりました。

今回、新しいタイプのアンカーである Rooftop anchor を紹介します。このアンカーを使用すると、建物のジオメトリと高さを計算し、デジタル コンテンツを建物の屋上に安全に固定することが可能になります。

Rooftop anchor により、デジタル コンテンツを
建物の屋上に簡単に固定できる

Geospatial depth は、ユーザーの
デバイスからリアルタイムに測定した深度を
Streetscape Geometry のデータと組み合わせ、
最大 65 m の深度マップを生成する

新しいアンカー機能に加えて、Google では Streetscape Geometry API を活用し、AR の最も重要な機能の 1 つである深度を改善しています。深度は、実世界での仮想オブジェクトのよりリアルなオクルージョンやコリジョンに欠かせない要素です。

今回、Geospatial Depth をリリースします。モバイル デバイスでリアルタイムに測定した深度と Streetscape Geometry のデータを組み合わせ、最大 65 m までの深度で建物や地形のデータを検知し、深度の測定を向上します。Geospatial Depth を使用すると、実世界でさらにリアルな地理空間エクスペリエンスを構築できます。

Rooftop Anchor は、Android と iOS で利用できます。Geospatial Depth は、Android で利用可能です。

Scene Semantics API の紹介

Scene Semantics API では、AI によって屋外シーンのすべてのピクセルにクラスラベルが提供され、ユーザーの周囲にあるものに基づいてカスタム AR エクスペリエンスを作成できます。リリース時点では、空、建物、木、道路、歩道、車両、人、水など、12 種類のクラスラベルが利用可能です。

Scene Semantics API は、AI を利用し、屋外のシーンに存在するさまざまなものに正確なラベルを提供する

Scene Semantics API を使って、アプリでさまざまなエクスペリエンスを実現できます。たとえば、道路や歩道など特定のシーンのコンポーネントを特定して、ユーザーに街を案内したり、人や車のリアルなオクルージョンをレンダリングしたり、時間に合わせて空に夕日を映し出したり、建物の外観を変更したり、仮想オブジェクトを固定したりすることができます。

Scene Semantics API は、Android で利用できます。

Mega Golf: 近所で拡張現実のミニゴルフを楽しめるゲーム

新しい API を実際に体験できるオープンソースのデモとして、Mega Golf もリリースします。Mega Golf では、3D の仮想上の障害物を避けながらホールを目がけてゴルフボールを打ち、ボールが実際の街の建物に跳ね返りながら進みます。このオープンソースのデモは GitHub で利用できます。このプロジェクトでさまざまなことが実現可能になるでしょう。

Mega Golf は Streetscape Geometry API を使用して、近所をミニゴルフ コースへと一変させます。プレイヤーは、近くの建物にゴルフボールを跳ね返らせながら、ホールを目指してボールを打つことができます。

これらの新しい ARCore 機能の向上と、Adobe Aero と Unity の新しい Geospatial Creator により、デベロッパーとクリエイターは、ユーザーに楽しみや実用性を提供するリアルな拡張現実エクスペリエンスをもっと簡単に構築できるようになります。今すぐ g.co/ARCore にアクセスして使い始めましょう。世界をキャンバス、遊び場、ギャラリーなどさまざまなものに変えて、自由にエクスペリエンスを構築してください。