Google ウォレットの新機能

7月 20, 2023
Jose Ugia Developer Relations Engineer

Google I/O 2023 と最近のブログ投稿で、Google ウォレットに追加する新しいパスのタイプと機能について説明しました。これらを使うと、パスを簡単に作成したり保護したりできるほか、皆さんのお客様のエクスペリエンスを向上させることができます。

ここでは、イベントで取り上げた内容の概略を説明します。または、セッションの録画を YouTube の Google Pay と Google ウォレットの新機能でご覧いただくこともできます。

プライベート パスでパス情報を保護する

汎用パスを拡張し、新しい汎用プライベート パス API で機密データに対応します。Google ウォレットの汎用プライベート パスにより、ユーザーの情報を保護して機密性の高いデジタル アイテムを安全に保管する方法が 1 つ増えることになります。このタイプのパスでは、プライベート パスを表示する際に本人確認が必須になります。本人確認には、指紋認証センサーやパスコードなどの認証方法を使います。この仕組みは、ヘルスケア業界などで機密情報を含むパスを作成する場合に役立ちます。

Google ウォレットのデベロッパー ドキュメントには、Google ウォレットにプライベート パスを追加するための詳しい手順が掲載されています。

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図 1: JSON 形式のプライベート パス定義。

デモモードで高速なパス開発を実現する

デモモードを使えば、Google Pay & ウォレット コンソールに移動して API アクセスにサインアップし、Google ウォレットのデベロッパー ドキュメントに記載されている前提条件を満たすだけで、すぐに自分のコードと連携させることができます。

初めて Google ウォレット発行元アカウントにサインアップすると、アカウントは自動的にデモモードになります。デモモードには、公開モードと同じ機能が含まれています。デモ環境と公開環境を区別しやすくするために、デモモードで作成したパスは、テスト用であることが視覚的に判別できるようになっています。公開モードでの運用が承認されると、この区別はなくなります。

テストが完了し、ユーザーにパスを発行する準備ができたら、コンソールの [Google Wallet API] セクションでビジネス情報を入力し、公開アクセスをリクエストします。そうすると、コンソール チームから追加の手順が記載されたメールが届きます。

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図 2: Google Pay & ウォレット コンソールのデモモード。

バーコードのローテーションとアカウント制限付きパスでセキュリティを強化する

パスのセキュリティを強化するため、バーコードをローテーションする新しい API を導入します。バーコードのローテーションを行うと、複数のバーコードを事前にまとめて作成し、Google ウォレットと同期させることができます。作成したバーコードは、あらかじめ定義された間隔でローテーションされ、ユーザーのウォレットはそれに基づいて表示および更新されます。バーコードのローテーションにより、長時間有効な乗車券やイベントのチケットなど、発行者がパスを保護する必要があるさまざまなユースケースを実現できます。

また、アカウント制限付きパスを発表しました。これは、発行者がパス オブジェクトを Google アカウントに関連付けることができる新機能です。この機能は、パスを発行するときに、パス オブジェクトにユーザーのメールアドレスを含めるだけで使うことができます。そうすると、ユーザーが Google ウォレットにパスを追加しようとしたときに追加のチェックが行われ、パスで指定されたメールアドレスが現在ログインしているユーザー アカウントと一致する場合にのみ成功します。アカウント制限付きパスを使うと、盗難、再販、譲渡などの許可されていない使用を防ぐことができます。

パスビルダーでパスをデザインする

ブランドやデザイン ガイドラインに沿ったパスを作るには、Google Wallet API を熟知する必要があります。昨年の Google I/O で紹介した動的テンプレートでは、設定によってパスのおおよそのプレビューを生成することができました。

今年は、このツールの新しい世代として、完全な機能を搭載したパスビルダーを導入します。リアルタイムでプレビューしながらパスのスタイルを設定できるだけでなく、パスのスタイルがどのように設定されているかを理解したり、各ビジュアル要素を API の各プロパティに接続したりすることもできるようになります。新しいパスビルダーは、クラスと JSON 形式のオブジェクトも生成してくれるので、それを使って API を直接呼び出すこともできます。テキストベースの設定では、パスのスタイルを設定してもどのような見た目になるかわかりにくい場合がありましたが、そういったことはなくなるので、パスの設定が簡単になります。現在のところ、新しいパスビルダーは、汎用パス、チケット、および小売系の各パスタイプで利用できます。

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図 3: Google Wallet API の新しいパスビルダーのデモ。

Google Wallet API を使ってみる

さっそく Google ウォレットと連携してみたい方は、ドキュメントをご覧ください。

連携の詳細については、GitHub のサンプルソース アプリケーションをご覧ください。

準備ができたら Google Pay & ウォレット コンソールにアクセスし、本番環境へのアクセスを申請しましょう。

次のステップ

Google I/O の直後に、Google ウォレットに追加できるものを増やす 5 つの新しい方法を公開しました。その 1 つが、身分証明書を Google ウォレットに保存することでした。そして近日中には、Google ウォレットの身分証明書から、個人情報を安全かつシームレスに確認できるようになります。次のようなユースケースが考えられます。

  • 年齢確認: 年齢制限のある商品を購入する前、または年齢制限のある会場に入場する前に、年齢をリクエストして確認します。
  • 本人確認: アカウントに関連付けられている人物の名前をリクエストして確認します。
  • 運転資格: 対象者の運転能力を確認します(例: レンタカー)。

Google ウォレットのアプリ内確認 API を使ってみたい方は、こちらのフォームにご記入ください。